もう一つの戦後史

日本がアメリカに占領されなければ、日本人の間で、明治憲法体制を維持しようとする右派・保守派と、国民主権の民主的な憲法・政治体制をつくろうとする左派・リベラル派の闘争が、政治・言論の世界で繰り広げられただろう。
その場合、一番の争点となるのは、国民主権天皇制(あるいは皇室)の問題だろう。
両者の間で、主権は天皇主権から国民主権に移すが、立憲君主制という形で天皇制(皇室)は存続させるという妥協案なり合意案が成立すれば、両者の戦いは流血の事態にはいたらなかったかもしれない。
 だが、明治憲法派が国民主権の原理を拒否した場合。あるいは民主派が皇室を廃止して共和制への移行に固執した場合。
その時は、両者の争いは流血の事態をもたらし、内乱へと発展したかもしれない。
 明治憲法派にとっては残念なことに、そして民主派にとっては幸か不幸か、外国の占領軍の力で民主的な憲法・政治体制がもたらされたため、両者による内乱はおこらず、流血の事態にはいたらずに民主的な憲法・政治体制が成立することになった。
ただ、「国民主権憲法」を当の日本国民自身でつくりだすことができず、それが占領軍の力でもたらされたことが、戦後の日本政治の特徴であり、日本の民主主義化が不充分なままとなった主要な原因であろう。